皆さんのなかにも、学生時代に借りた奨学金を、返済中の方がいらっしゃると思います。
今回は「貯蓄があっても奨学金を前倒しで返済しない理由」について紹介します。
繰り上げて早く返済するべきかどうかどうか、迷われている方も多いと思います。
大学進学にあたり、わが家は夫婦二人とも、日本学生支援機構から奨学金を借りました。
金額は私が288万円、妻が230万円ほどで、二人あわせて年間33.3万円を返済しています。
実はわが家でも、それぞれ独身時代に貯めたお金などを活用すれば、繰り上げして早く完済できるのですが、あえてしていません。
その理由を解説します。
なぜ前倒しで返済しないのか
もし貯蓄を奨学金の前倒し返済に充てると、わが家の場合は約2年で完済できます。
でも、わが家は前倒しの返済に充てず、投資に回しています。
具体的には、
- 「つみたてNISA」を満額活用し、年間40万円×2人=80万円
- 「iDeCo(夫のみ)」を年間14.4万円
- 年間で合計94.4万円を運用
しています。
なぜ繰り上げ返済をせずに運用するのか
次に、なぜ奨学金を前倒しで返済せず、運用を優先しているかご説明します。
ポイントは2つです。
①借りている奨学金が第一種であるため、利子がない。
このため、前倒ししても、しなくても総額が変わりません。
(生命保険のような年払いによる割引があれば話は別ですが、日本学生支援機構の場合には、まとめて支払った場合にも割引がありません)
②年間94.4万円を運用すると、運用益(4%目標)を期待できる
下記で比較します。
この94.4万円を全て奨学金の返済に回した場合
まずは繰り上げ返済した場合を試算します。
・2022年12月 奨学金完済
・2023年 1月 年間94.4万円運用開始+年間貯金33.3万円(返済にあてていた分)
・2028年9月 貯蓄797万円(運用益66万円含む)
奨学金を繰り上げ返済せず、運用を優先した場合
2028年9月 奨学金完済、貯蓄856万円(運用益125万円含む)
※わかりやすさ重視で、税金等の話は省いています。
※また実際の利回りは変動するため、あくまで推定値です。
税金等の複雑な話は簡略化しますが、奨学金を前倒し返済せずに運用を優先させた場合の方が、奨学金返済終了時に59万円も得することになります。
これぞ複利の力です。
繰り上げて返済すべき場合とは
・借入金の金利が3%未満だったら、返済はあせらず、余裕資金を投資に回しなさい。
・借入金の金利が3~5%だったら、余裕資金を返済に充てても、投資に回してもかまいません。
・借入金の金利が5%より高かったら、何をおいてもできるだけ早く借入金を返済すべきです。
「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」
ジェイエル・コリンズ著/小野一郎訳
上記は一例ですので、ご自身の経済状況等を踏まえてご検討いただければ幸いです。
最後に、かの有名なアインシュタインの言葉をご紹介します。
「複利は人類による最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」
投資は複利を活用すれば、上手に資産を増やせます!少しでも参考になれば幸いです。